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旭川家庭裁判所 昭和45年(少)474号 決定

少年 S・U子(昭三一・一・二四生)

主文

少年を初等少年院に送致する。

理由

(罪となるべき事実)

司法警察員作成の少年事件送致書記載の犯罪事実を引用する。

(適用すべき法令)

刑法六〇条、二三五条

(少年を初等少年院に送致すべき事由)

少年は、昭和四四年八月初めから同年九月一〇日ごろまでの間無断外泊、家出を繰返し、○○中学校長から旭川児童相談所に通告され同所の一時保護を受けた後、同年一一月二五日から児童福祉法二七条一項二号による児童福祉司の面接指導を受けていたものであるが同年一二月から昭和四五年二月の間再三にわたつて無断外泊、家出を繰返し、かつ学校を怠休し、この間飲酒、喫煙、性交、ボンド遊び等を行ううち本件犯行に及んだものであつて、本件犯罪事実自体は軽微なものであるが、少年の非行性は相当根深いものとみなければならない。

一方、少年の父は仕事で家庭を空けることが多く、少年の指導監督を十分なしえない状況にあり、母も少年を指導監督する能力は全くなく、加えて児童福祉法二七条一項二号による指導が全くその効果をおさめず、少年の非行化の亢進を止め得なかつたことを考え合わせると本少年については施設に収容し、強力な性格矯正の方法を講ずるのが適当であると考える。

以上の事実と(イ)少年が児童相談所に一時保護中逃走や無断外出をしていること(ロ)家庭においても家出、無断外泊を繰返していること、を考慮し、少年を初等少年院に送致するのが相当である。

なお、昭和四五年三月二三日北海道旭川児童相談所長から送致のぐ犯の事実については、少年のぐ犯性が現実化して前記認定の犯罪行為に至つた以上、右犯罪行為について少年を保護処分に付する際の情状として考慮されるべきものと認められるから、これについては、少年に対し処分をしない。

よつて、少年法二四条一項三号、少年審判規則三七条一項を適用して、主文のとおり決定する。

(裁判官 小田健司)

司法警察員作成の少年事件送致書記載の犯罪事実

(一) 被疑少年A、S・U子、Bは共謀の上、昭和四五年二月○日午前一〇時二〇分頃、旭川市○○○○×丁目○○○号○○館旭川支店階下下着類売場において、同支店店長○田○夫、保管々理に係る、ガーターバンド二点、時価合計五五〇円相当を窃取し

(二) 更に被疑少年A、S・U子、Bは共謀の上、昭和四五年二月○日、午前九時五〇分頃、旭川市○○○○△丁目旭川駅地階○テ○シ○ンデパート化粧品売場において、同デパート社長、○保○一保管々理に係るライオン旅行セット三点時価合訃三六〇円相当を窃取したものである。

参考一 送致書〈省略〉

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